大先輩である京都大学の山中先生のiPS細胞の発見以降、日本では再生医療への注目が高まっています。
美容分野でも再生医療の技術を使った美容法が広まってきています。
みなさんも幹細胞コスメという言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?
動画版もありますので、動画の方が好みの方はこちらを御覧ください。
ヒト幹細胞培養上清液(通称:上清液)とは?
ヒト幹細胞を培養する際に幹細胞から分泌されるエキスを含む上澄み液を上清液と呼びます。
幹細胞そのものは精製の際に除かれるので、他人の上清液を使用したとしても拒絶反応などが起こることはありません。
ヒトの組織・細胞を再生(活性化)させる多種多様な成分を含むんでおり、
程度にもよるがどんな損傷した組織・細胞でも再生、活性化ができます。
つまり、極端に言うと
何にでも効いてしまう
というとんでもない成分になります。
再生医療の現在
幹細胞を用いた再生医療は実は日本では10年以上前から行われています。
再生医療の現場で上清液がどのように活用されているのかを解説していきます。
- 上清液の再生医療での適応症例
- 脳機能障害(身体マヒ、認知症など)
- 自己免疫疾患(アトピー、アレルギーなど)
- 脳梗塞・心筋梗塞
- 創傷治癒(傷の治りを早くする、傷跡をキレイにする)
など、非常に適応できる症状が多いです。
僕自身、脳腫瘍で身体マヒを負った時に上清液を使いました。
結果、マヒは改善されました。
上清液の場合は使用を中止すると、またマヒが戻ってしまったので、幹細胞そのものを投与する治療を行いました。
こちらが僕が使った上清液です。
自分の幹細胞を培養した時にできたものをいただいてきました。
上清液は活性を保つために冷凍保存です。これを解凍して分注したのが下の画像です。
美容への応用
現在、再生医療の現場で使われている上清液は美容成分としても非常に優秀です。
上清液には
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- 成長因子(グロースファクター)
- リボソーム・エクソソーム
- 700種類以上のサイトカイン
などの生体分子が含まれています。
ヒトの細胞は互いにコミュニケーションを取ることで体全体を健康に保っていて、その細胞間コミュニケーションに使われるのが生体分子です。
上清液には細胞を活性化する生体分子が多量に含まれているので再生医療や美容で大きな効果を発揮するというわけです。
成長因子とは?
細胞や組織に成長を促すように指令を出す生体分子
- 非常にセンシティブで失活しやすい
- また、分子量が大きく、皮膚からは浸透しない
失活してしまっては何の効果も得られませんので、医療現場では冷凍保存したものを解凍してすぐに使用します。
など美容での使用に際しては難点もあります。
成長因子〇〇GF配合と称している美容液も見かけますが、保存方法が冷凍になっているもの以外は信用しない方が良いでしょう。
上清液に含まれる成長因子の作用
例えば、上清液に含まれる成長因子の作用を一部紹介しますと
- EGF:上皮細胞にコラーゲンの増産を命令する
- TIMP:上皮細胞にコラーゲンを分解しないように命令する
- VEGF:血管を新たに作ることで血流を改善するように細胞に命令する
- FGF:上皮細胞に皮膚の構造を作っているエラスチンを増産し、肌にハリを出す
- IGF:ヒト成長ホルモンとよく似た働きをする
などなど、美容面で非常に有益な効果が期待できます。
若いとは何なのか?
若い≒幹細胞の数が多い
10代でも新生児の10分の1以下
30代で40分の1
80代で200分の1
と、幹細胞の数は生まれた時が一番多く、以降は基本的に減る一方です。
若い時が幹細胞の数が多いということは、体内で分泌される上清液の量が多いということです。
大人より子供のほうが傷の治りが早いというのはよく知られていると思いますが、これは体内で分泌される上清液の量が子供の方が多いからです。
つまり、
上清液の補給≒若返り
と言っても過言ではありません。
ピンキリな上清液
一口に上清液と言っても様々なものが出回っています。世間に出回ってる上清液はピンキリで、効果や安全性に違いがあるので、よく見極めてください。
上清液の品質に一番重要なのは培養技術です。
臍帯から作った上清液が良いと言われていますが、日本国内では臍帯の取引は規制されているので、臍帯由来の上清液はまともに培養されたものである可能性は低いです。
僕の幹細胞治療を行ってくれているドクターのところに韓国製の上清液の営業に来た人が「安くて品質もいいですよ」と言っていたが、「その上清液を今からあなた方に点滴しても良いですか?」と聞くと全力で断られたとか。
自分では使いたくないような品質の上清液を扱っている業者も多いのかもしれません。
上清液を大まかに分けると以下のような基準で分けられます。
- 植物幹細胞由来
- 動物(ヒト以外)幹細胞由来
- ヒト幹細胞由来
- 日本製
- 海外製
- 化粧品用
- 医療用
以下でそれぞれについて解説していきます。
植物幹細胞由来
- リンゴ幹細胞
- 竹幹細胞
- アルガン幹細胞
などの植物の幹細胞の培養上清液。
ヒトの体を構成する生体分子とは全く異なるので、効果の点では疑問があります。
動物(ヒト以外)幹細胞由来
幼羊の毛根や羊のプラセンタから抽出される幹細胞エキス
植物由来よりは人間の体を構成する成分に近いので効果は高いが
動物由来のウイルスなども含まれている可能性があり、安全面では不安が残る
ヒト幹細胞由来
ヒトの幹細胞が分泌する上清液は、当然ですが、ヒトの体を構成している同じ生体分子です。
なので、最も効果が高いです。
日本製
ヒト幹細胞の培養技術は現在、日本が世界トップレベル
以前は幹細胞美容先進国だった韓国が世界トップの培養技術を持っていたが、日本で幹細胞治療が始まってからの10年で日本が韓国を追い抜いてしまった
海外製
海外製の上清液は出どころ不明で培養技術も怪しいものが少なくない
違法取引で製造されたものの可能性もある
さい帯の取引は日本国内では禁止されているが
海外では特に禁止されていなかったり
禁止されていても闇ルートがあったりする
闇ルートで取引する業者がまともな培養技術を持っているとは考えにくい
上清液はとてもセンシティブな成分なので、丁寧に扱わないと生体分子が失活して効果がなくなってしまうが、海外製だとどこまで丁寧に扱われているのか分からないです。
医療用VS化粧品用
医療用の上清液は厳格な品質おチェックおよびウィルス、細菌検査が行われているので、安全性は高いです。
一方、化粧品用はどこまでチェックされているのか不明です。
上清液は肌本来の力を引き出す次世代の美容成分
再生医療の台頭により、美容も根本的な転換点を迎えています。
あなたは古い美容法を続けますか?
それとも進化した美容法へ乗り換えますか?
これまでの医療(西洋的)
外科手術や薬物療法のように体に外から力を加えることで病気を治す。
そのため、必ず目的の効果以外に副作用が起こってしまっていた。
人間の体は複雑すぎて科学で全てを解明することはまだまだ難しいです。
病状や薬の効果もまだ科学では理屈が説明できないものが少なくありません。
メカニズムは不明だけど、効果
これからの医療(東洋的)
本来ヒトの体には病気を治す力が備わっているのだから、
体が持っている本来の力を引き出し、整えることで、病気を治していくというのが東洋医学の考え方。
あるいはそもそも病気になりにくい体を作っていく。
理論的に説明するよりも、経験則からよい治療法を探っていく。
科学には絶対(100%)はないですし、上にも書いたように人体は科学ではまだ解明できていないことの方が圧倒的に多いです。
科学が解明したのはせいぜい人体のうち5%くらいではないかと個人的には思っています。
それならば、経験則の方がアテになるのではないかと。
再生医療の考え方はどちらかと言うと「体が本来持っている生命力を引き出し、整える」という東洋医学の発想に近いです。
美容も同じ
外から力を加えるのではなく、本来体が持っている力を引き出す事で美しくしていく。
上清液がやっているのがまさにコレです。
最新の科学に基づいているのですが、実は自然な無理のない美容法です。