こんにちは、梶原です。
このページでは僕が現在受けている幹細胞治療について解説していきます。
幹細胞治療も再生医療の一つです。
余命2年
脳腫瘍が見つかり、現代医学では自分の余命が幾ばくもない事を知り、その時偶然、幹細胞治療の存在を知りました。
そして、すぐに治療を受けることを決断しました。
普通に治療してても、数年のうちに死ぬんだったら可能性のあることは何でもやってみるしかないだろうと。
幹細胞と再生医療
再生医療という言葉を最近はよくニュースで耳にするのではないでしょうか?
再生医療と言っても様々なアプローチがあるのですが、
現在、盛んに研究されているのはその人が元々持っている細胞を使って、病気や怪我を治療する方法です。
iPS細胞を使って、人体組織を作って移植するという治療法はよくニュースになっていますよね。
幹細胞とは?
再生医療という言葉とともに幹細胞という言葉はみなさん聞いたことがあるのではないでしょうか?
ノーベル賞を受賞した山中先生のiPS細胞も幹細胞の一種です。
幹細胞とは最終分化していない様々な体の組織細胞になる能力を持って、その性質を失わずに自己増殖もできる細胞です。
こういった幹細胞から、将来的には人工的に損傷したり病気になった(臓器)組織を作って移植するといったような事が可能になると期待されている
人間はたった一つの受精卵が人体を構成する様々な組織細胞に成ることで生まれます。この過程では受精卵が分裂と変化を繰り返し、人の体になっていきます。この細胞の性質が変化することを分化と言います。分化は不可逆で、一度分化して性質が変化した細胞は同じ細胞に分裂することはできますが、以前の細胞には戻れません。つまり「一度、表皮細胞になった細胞は表皮細胞以外には成れない」ということです。具体例を挙げると「幹細胞から脂肪細胞に変化する」みたいな過程が分化です。この分化の過程が不可逆なので、どんな細胞にも分化できる幹細胞が再生医療の中心になっているわけです。
多能性幹細胞(万能細胞)体性幹細胞体細胞(最終分化)
大雑把に説明すると、この順番で分化は進み逆には戻れません。
分化についてはこちらの記事で詳しく解説しています分化とは?
現在、医療目的で使用されたり、研究されている幹細胞は2種類あります。
- 多能性幹細胞(いわゆる万能細胞)
- 体性幹細胞
の2つです。
それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるので、以下で解説していきます。
多能性幹細胞(いわゆる万能細胞)
多能性幹細胞とは体のすべての組織になれる細胞です。
受精卵やES細胞、山中先生のiPS細胞もこの多能性幹細胞です。
利点
- 自分の体のどの組織にも成る事ができる
- 自分の細胞なので、免疫による拒絶反応が起こらない
問題点
- どの組織になるのか全く方向性が定まっていないので、狙った組織に分化させることが難しい。
- 分化させる過程や移植後、ガン化しやすい。
体性幹細胞
人間の体の組織の中には損傷して死んだ細胞を補うための幹細胞が存在しています。
「表皮であれば表皮になるための幹細胞がいる」ということです。
組織のなかにはその組織になるための幹細胞が存在しています。
こういった幹細胞のことを体性幹細胞と言います。
iPS細胞など多能性幹細胞はまだ技術的に狙った細胞に分化させることが難しく、ガン化してしまうリスクが高いため、まだ実用化には至っていません。
一方で、体性幹細胞はある程度、分化する組織が決まっているので、ガン化のリスクが低く、かつ損傷した組織を再生することができます。
現在の再生医療では作成・培養が容易なこの体性幹細胞がメインで使われています。
生まれたばっかりの赤ちゃんの頃はこの体性幹細胞がどの組織にも十分にあるので、どんどん成長していくことができるわけですね。
子どもは怪我しても傷の治りが早いですが、歳取ると傷の治りが遅くなるのはこの体性幹細胞が加齢に伴って減っていくからだと考えられています。
現在、行われている治療は体の組織からこの体性幹細胞を取り出して、培養し、数を増やして体に戻すことで病気の治療を行うものになります。
いうなれば体性幹細胞の量をたくさんあった若い頃に戻す治療になります。
治療法がなかった病気・怪我への希望
本来は一度死んだら再生できない神経細胞にも体性幹細胞は成れるので、これまでは治療法がなかった
- 脳梗塞による麻痺や言語障害
- 脊椎損傷による四肢麻痺
等が改善した事例などがいくつも報告されています。
他にも体性幹細胞には免疫調整作用もあるので、これまではステロイドによる対処療法以外の治療法がなかった難治性アトピーなども改善された事例が報告されています。
などなど、これまでは治療が不可能だった病気や怪我に対しても効果をあげる可能性ある治療法です。
利点
- 日本国内ではこれまで10年ほど体性幹細胞を用いた治療が行われているが、副作用が報告された例はない。
- 自分の細胞なので拒絶反応のリスクが低い
- 全能性幹細胞ではないので、すべての組織になれるわけではないが、かなり広範囲な細胞に成れるため、様々な病気・怪我の治療に用いる事ができる。
- 分化できる細胞が限られているがゆえに、誘導・培養が容易
- 脂肪組織から採取できるので、採取の負荷が低い
問題点
- まだ保険診療で使える疾患はないので、治療費は高額になりやすい。
- まだ日本で治療に用いられるようになって10年程度なので、数十年スパンで体にどのような影響があるかは分かっていない。
幹細胞そのものについてはこちらの記事で詳しく解説しています⇒幹細胞とは?
まとめ
幹細胞治療は何でも治せる魔法の治療ではないですが、これまで治療法がなかった難病にも効果を上げた事例が多くある新しい医療です。
体性幹細胞を用いた幹細胞治療は国内で行われるようになって10年程度ですが、まだ副作用が出た事例はありません。
iPS細胞を用いた再生医療の実用化はまだまだ先になりそうなので、しばらくは体性幹細胞による再生医療が主流になるでしょう。
そして、治療実績が積み上がって行けば、将来的には保険診療の対象にもなってくるでしょう。
そうすれば、多くの人が幹細胞治療を受けられるようになります。
その未来を目指して、このブログで情報提供していきます。