ワクチンイメージ

どうも、こんにちは、幹細胞番長です。

今回は免疫とワクチンについてお話します。

ここ最近、新型コロナウィルスのワクチンがよく話題にのぼりますが

「ワクチンとは何なのか?」

よく知らない方も多いのではないかと思います。

免疫とは何か?

ワクチンというものを理解するためにはヒトの免疫システムを知る必要があります。

戦いの最前線は皮膚

皮膚には皮脂があり、弱酸性にすることで、病原体が体内に侵入させない仕組みになっています。ただ皮膚についた細菌やウィルスもすぐに死ぬわけではないので、病原体が死ぬ前に手で粘膜(特に顔目鼻口)に触ると侵入されるリスクが上がってしまいます。

手も洗いすぎたり、アルコールで消毒しすぎると皮脂が失われ皮膚本来の機能が失われ直接肌から病原体に侵入されてしまうため、やり過ぎは良くないです。過ぎたるは及ばざるが如し。

簡単に言ってしまうと

「免疫とは体内に侵入した病原体や発生したガンを攻撃し、排除する仕組み」です。

具体的には、血液として全身を巡回している白血球(免疫細胞)が侵入者を見つけて排除しています。

2種類の免疫

免疫には大きく分けると

  1. 自然免疫
  2. 獲得免疫

の2種類の免疫があります。

自然免疫⇒自動迎撃システム

自然免疫とは自分の細胞ではない異物(自己抗原を持っていないもの)を自動で攻撃し、排除するシステムです。

主にマクロファージや好中球、NK細胞などが担っています。

免疫細胞がうまく自己抗原を認識できないと、アトピーやクローン病など免疫細胞が自分の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患につながることもあります。

幹細胞番長

例えば、花粉症は本来は人体に有害ではない花粉に免疫が過剰反応している状態です。

 

獲得免疫⇒標的特化型兵器

一方、獲得免疫と呼ばれるシステムは自然免疫とは違い「自分の細胞ではない」からという理由で無差別に攻撃はしません。

特定の病原体を認識してその病原体専用の武器を用意して攻撃することで、単純な攻撃よりも、強い効果を発揮できます。

その認識と攻撃に使われるのが以下で解説する抗原と抗体です。

 

抗原と抗体

免疫系には侵入者を発見し、排除するための仕組みがあります。

それが抗原と抗体です。

こちらを担っているのがT細胞やB細胞と呼ばれる免疫細胞です。

抗原⇒識別

侵入してきた病原体には個体ごとの特徴があります。それが抗原です。

どうやって認識しているのか詳しい機構は未解明なのですが、免疫細胞(T細胞)はその抗原を認識する事ができます。

抗原の認識によってその病原体が何者であるかを免疫系は知る事ができます。

幹細胞番長

例えば、麻疹などは一度かかるとそれ以降はかからないですが、それは一度、ウィルスに侵入された時に獲得免疫が抗原を学習していて、また侵入されてもすぐに発見し、すぐに抗体を作り、排除してしまうからです。

抗体⇒排除

抗体は「特定の病原体に最適化された武器」だと思ってもらえれば分かりやすいと思います。

T細胞が病原体の抗原を認識すると、その病原体を排除するために、抗原の情報をB細胞に伝え、B細胞がその病原体を排除するための武器として抗体を作り始めます。

感染から発症までのタイムラグ

抗体ができると本格的に病原体との戦いが始まるので、体のあちこちで炎症が起こり、熱が出ます。こういった症状が感染から数日後に出てくるのは抗体ができるまでにそのくらいの時間がかかるからです。

ワクチンとは?

弱毒化したウィルスを大量に体内に入れることで抗原をT細胞に覚えさせる事で、万が一そのウィルスが体内に入って来た時に免疫細胞がすぐに戦える状態を作っておくために使うその弱毒化したウィルスがワクチンです。

※新型コロナのワクチンはmRNAを利用していたりするので、少し事情が違いますが、

事前に特定のウィルスを攻撃するための獲得免疫を作っておくわけですね。

獲得免疫があると、そのウィルスが侵入してきても免疫系がすぐ反応できるおかげで、すぐにウィルスを発見、排除できるので感染しないというわけです。

万が一、感染したとしても、免疫系が既にそのウィルスに対して武器を準備している状態でスタンバイしているので、重症化しづらいです。

メリット

ウィルスに対しては今の所、人類の持っている予防策はワクチンのみです。

ワクチンによって、ウィルスに感染しにくくしたり、感染しても発症しないようにしたり、重篤な症状が出ないようにすることができます。

特に免疫力が落ちている高齢者には有効に働きます。

風邪を起こすくらいのウィルスなら罹っても大した事はないのですが、狂犬病やポリオのように発症すると命に関わるようなウィルスもあります。

そういったウィルスから身を守るにはワクチンしかありません。

デメリット

ワクチンは大量の免疫細胞をそのウィルスを攻撃させる事に特化させてしまうので、そのウィルスに対しては強くなるのですが、大量の免疫細胞が特定のウィルス専門になってしまうので、その他の病原体に対しての防御力は落ちてしまいます

また免疫系に大きな負荷がかかるので、T細胞がそれまでに覚えていた抗原を忘れてしまうリスクがあります。

子供にワクチンを使う事の問題点

子供は母親の子宮を出た瞬間から様々な細菌やウィルスに曝されることになります。

子供の免疫細胞は、様々な病原体に曝されることで、それぞれの抗原を学習していきます。

そして、致命的な症状を引き起こす病原体には素早く対処できるように免疫を鍛えておくわけです。

その学習期間中に大量の病原体を打ち込むとT細胞がその病原体以外の抗原を忘れてしまうリスクが高いです。その時、自己抗原を忘れてしまうとアトピーやクローン病などの自己免疫疾患を発症する事があります。

元々免疫力が高く、重症化しにくい子供に自己免疫疾患などが将来起こるリスクを負わせてまでワクチンを使うのか?という判断になってきます。

梶原

こういったリスクとのトレードオフを考えずに「子供にはワクチン打たないといけない」と考えている親は無責任だと僕は感じます。

15歳までは免疫のトレーニング期間

個人差はありますがヒトは大体15歳までは免疫は抗原を学習する事ができます。

その期間はT細胞が抗原を学習する能力が高いですし、若ければ若いほど自然免疫も強いので、子供は大人よりも病原体に侵入されても、重症になり難いです。

そして、子供の頃にかかった病気の抗原は免疫系がよく覚えているので、大人になってからもかかり難くなります。

大人にワクチンが必要な理由

子供が病原体に対する学習能力が高いのに対し、大人は学習能力が低いです。

なので、新型コロナのような未知の(子供の頃に抗原を学習していない)病原体には対応ができません

だから、未知の病原体に対抗するにはワクチンしか手段がありません。

まとめ

免疫系には自然免疫と獲得免疫の2種類がある

自然免疫⇒自動迎撃システム
獲得免疫⇒標的特化型兵器

子供はまだ免疫が学習中の段階にあり、免疫力も強いので、ウィルスに対しても抵抗力がある。その子供にワクチンを打って、自己免疫疾患や他の病原体に対する抵抗力を落とすリスクを負わせるのか?大人は現時点で免疫力が落ちているので、未知のウィルスに対抗するにはワクチンを使うしかない。

幹細胞番長

愛なき科学は破壊的だが、科学なき愛は無力。愛情を持つのは大切なことだけど、正しい知識がなければ、愛する人を不幸にする可能性がある